最初はたった一館のみでの上映だったのが、口コミで徐々に話題を呼び、ついには日本アカデミー賞最優秀作品賞まで受賞。そんな大注目の映画『侍タイムスリッパー』を劇場で鑑賞してきました。
正直に言うと、私個人としてはあまりハマらなかったというのが率直な感想です。そのため、全体の評価としてはやや辛口になります。
※以下、ネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。
また、一度しか観ていないため、細かな記憶違いがあるかもしれません。ご了承ください。
目次
「侍タイムスリッパー」の良かったポイント
侍役の熱演がすごい
現代にタイムスリップする侍を演じた山口馬木也さんと冨家ノリマサさん。このお二人の演技が圧巻でした。姿勢や目線、所作の一つひとつから「本物の侍なのでは?」と思わせる説得力がありました。
中でも真剣で斬り合うシーンは手に汗握る展開で、黒澤明監督の『椿三十郎』を彷彿とさせる緊迫感。静と動のバランスが見事で、映画館の空気がピリッと張り詰めたのを感じました。
異色のタイムスリップ設定
普通、タイムスリップ映画というと「元の時代に戻る方法を探す」のが王道パターンですが、本作では現代社会にそのまま馴染んでいくという流れ。これが新鮮で、意外とアリだなと感じました。
さらに中盤で、時代劇の大御所俳優・風見恭一郎もタイムスリップしていたと判明するシーンは不意を突かれました。雷に打たれた描写はあったのに、完全に見落としていて、「その手があったかー!」と感心してしまいました。
「侍タイムスリッパー」で気になったポイント
どうしても冗長に感じる展開
ストーリーの展開が全体的に遅く、特に序盤以降はテンポが悪く感じました。内容に対して2時間11分は正直長すぎる印象。
監督が自費で制作したという背景もあり、愛着ゆえにカットしづらかったのかもしれませんが、「このシーン、もう少し短くできるのでは?」と思う場面が多々ありました。テンポの悪さがもったいないです。
安っぽく感じる演出やノリ
侍役のお二人がしっかりとした雰囲気を作っていた分、その他のキャストの演技やセリフの軽さが浮いてしまっていました。
特に「落ちる」とか「滑る」って言わないようにしようみたいなギャグシーンは、どうにも寒くて…。個人的にはリアリティのあるやり取りが好きなので、こういうわざとらしい演出は苦手でした。低予算でも、演出次第でもっと質感を高められるはずです。
時代ギャップの描き方が惜しい
侍が現代にやってきたという設定である以上、文化や常識のギャップを活かしたシュールな笑いや驚きのリアクションがもっとあってもよかったのでは?と感じました。
テレビに驚く、ショートケーキに感動するシーンなどはありましたが、それだけでは物足りず、もっと侍と現代人の噛み合わない会話やシュールな描写が観たかったです。
「侍タイムスリッパー」まとめ
あれこれ書きましたが、低予算のインディーズ映画が口コミで話題になり、ついには日本アカデミー賞を取るという流れ自体が、映画ファンとしてはとても嬉しい出来事でした。
切られ役に焦点を当てた安田淳一監督の時代劇愛はビシビシ伝わってきますし、文句を言いつつも観て良かったと思わせてくれる作品でした。
2025年 4月 24日現在、「侍タイムスリッパー」はAmazon primeにて鑑賞可能です。
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